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- 検査内容と目的
眼科検査には、診断、治療方針決定、経過観察に必要なさまざまな検査がありますが、患者様に理解を深めていただけるよう、当院で行っている主な検査と目的を紹介いたします。
1、屈折検査
屈折検査では遠視・近視・乱視といった屈折の種類や程度を測定します。
他覚的屈折検査と自覚的屈折検査があり、他覚的屈折はオートレフラクトメーターを使用して検査します。
自覚的屈折検査は、他覚的屈折検査での値をもとに視力検査時に視力表と検眼レンズを用いて検査します。
視力検査を行ううえで非常に重要な検査です。
小さなお子様や車いすの方でも検査可能な、ハンディータイプのオートレフラクトメーターもそろえております。
2、視力検査
遠方視力・近方視力・眼鏡視力等、必要に応じて見え方の確認を行います。
自覚的には見え方に変わりがない様に思えていても、検査をすると視力の低下がある場合や、視力に変化がなくても屈折に変化が認められる場合もあるため、医師が疾患の進行状態を把握するうえで非常に重要な検査となります。
特に視力に影響が出る可能性がある疾患に対しては、定期的な確認が必要となります。
当院ではトーメー社の液晶視力検査器CV-7000を導入しています。字づまり・字ひとつ表示の他、小児の視力検査に有用な絵視標等、多種多様な視標を表示させることができるため、患者様の状態に合わせた検査を行うことが可能です。
3、眼圧検査
眼圧を測定します。
眼圧とは眼球の内圧であり、眼球の形態を保っている眼内圧のことです。
眼圧が関係する代表的な疾患として緑内障があります。
その他、炎症性疾患、薬の副作用、網膜剥離、外傷でも眼圧が変化することがあります。
眼圧の異常値によりさまざまな疾患が考えられるため、診察前のスクリーニングとして非常に重要な検査です。
ノンコンタクトトノメーターや、小さなお子様や車いす使用の方にも測定可能なアイケア、圧平式のトノペンを状況に合わせて使い分けています。
さらに丁寧な眼圧測定が必要となる場合は、診察時にゴールドマン圧平眼圧計を用いて検査を行います。
4、細隙灯顕微鏡検査
診察室にて、ほとんどの方が受ける検査です。
目のさまざまな疾患の診断に大変有用な検査で、水晶体より前の前眼部を観察し、散瞳下では、水晶体全体および後極部の観察が可能です。
当院では光学技術分野で新しい技術を持つカールツァイス社の顕微鏡を導入し、検査を行っております。
小さなお子様は検査機器を見ると怖がってしまうため、お子様用に小さな細隙灯顕微鏡もそろえております。
5、倒像鏡検査(眼底検査)
診察室にて、医師が倒像鏡という手持ちの器械とレンズを用いて検査します。
水晶体より後方の網膜・硝子体(眼底)を広く観察します。
検査を行う代表的な疾患として、網膜剥離や糖尿病網膜症があります。
6、眼底撮影
主に眼球の後極部といわれる網膜の黄斑や視神経を撮影します。
散瞳下では網膜の周辺も撮影することができます。
当院では自発蛍光撮影機能等、複数の撮影モードを搭載したコーワ社の眼底カメラVX-20αを導入しております。
自発蛍光撮影は、造影剤を使用せず、目の組織自体が発する自発蛍光を観察でき、低侵襲で患者様の負担を軽減した撮影が可能です。
加齢黄斑変性や、その他の黄斑疾患の診断、早期発見・早期治療、経過観察に有用です。
7、視野検査
視野とは見えている範囲のことです。
静的視野と動的視野があり、光を使って、見える範囲と感度を測定します。
静的視野検査は、ハンフリー自動視野計を用いて比較的中心部の視野を詳細に測定することができます。
代表的な疾患として緑内障があります。
当院ではカールツァイス社の新しいハンフリー自動視野計を導入し、ハンフリー自動視野計データ解析ソフトを用いて緑内障の診断と経過観察を行っております。
動的視野検査は、ゴールドマン視野計を用いて広い範囲の視野を測定することができます。
この検査方法は、個人に合わせて測定できるので、小児や高齢の方でも検査ができます。
代表的な疾患として脳疾患による障害、視神経疾患があります。
8、光干渉断層計及び血管撮影
網膜は10層に分かれており、光干渉断層計(OCT)では網膜から脈絡膜にかけての断層画像等の撮影が可能です。
検出できる代表的な疾患として、黄斑変性症をはじめとする黄斑疾患があり、初期の変化もとらえることができます。
また網膜神経線維の厚みを測定することが可能であり、網膜神経線維が菲薄化する緑内障や網膜・脈絡膜疾患等、幅広い疾患の診断・評価に有用です。
さらに、光干渉断層血管撮影(OCTA)はOCTの技術を応用し、連続的に網脈絡膜の撮影を行い、層別に血流情報を描出する事ができます。
造影剤を使用せずに撮影する事ができる為、造影剤が体に合わない方でも検査を行って血管の状態を評価する事が可能です。
網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症における無灌流領域や網膜新生血管の他、加齢黄斑変性症等での脈絡膜新生血管の検出に有用です。
当院では脈絡膜レベルの血流まで、高感度かつ高侵達に画像化可能な、トプコン社のスウェプトソースOCT Angio™を導入しております。
9、角膜内皮細胞撮影
角膜内皮細胞の撮影・観察が行えます。
角膜は5層に分かれており、1番後面が内皮層で、角膜の透明性を維持する重要な役割を担っています。
加齢やコンタクトレンズの不適切な使用等によって減少し、一度減少すると増えることはありません。
検査対象としては角膜疾患、コンタクトレンズを初めて使用する場合や使用時の評価、手術前後の評価等があげられます。
当院では広い測定範囲と解析機能を持ち、素早い検査・評価が可能なトーメー社のEM-4000を導入し検査を行っております。
10、眼軸長測定
1.OA2000(トーメー社)
眼球の長さを測定することができ、主に白内障手術前の検査で使用します。
眼軸の測定は、水晶体の代わりに挿入する眼内レンズの度数を決定するうえで重要な検査となります。
当院では光学式眼軸長測定装置を導入しております。
進行した白内障により、光学式眼軸長測定装置での検査が困難な場合は、超音波式眼軸長測定装置を使用し、検査を行っております。進行した白内障に対しても測定率の高いトーメー社のOA-2000を導入し検査を行っております。
眼軸長トレンド解析ソフトウエア Axial Manager
このソフトでは、OA2000で測定した眼軸長の経時変化をグラフで示すことができます。
近視進行抑制治療において、近視が進行する場合の眼軸長変化の予測や、同世代のお子さんの眼軸長との比較が可能で、治療の経過や効果の確認に有用です。
当院では、このソフトを用いて、近視進行抑制治療中のお子さんの経過を説明しております。
2. ARGOS(アルコン社)
ARGOSは、OA2000と同様に、眼球の長さを測定します。
ARGOSは進行した白内障に対しても、優れた測定成功率で、精度の高い眼軸長データの計測が可能です。
ARGOSで作成された手術計画は、手術当日に手術室のVERIONへ直接送信することが可能で、計画されたデータと患者さんの眼を同期させて手術を行うことにより、手術精度の向上も期待でき、術後のより高い満足度につなげることが可能です。
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以上のように、当院では眼軸長測定に上記2つの器械を用い、より高い手術精度を追求しております。
11、前眼部光干渉断層計
当院では、前眼部OCT CASIA2 Advanceを導入しております。
本機は、世界初の前眼部専用スウェプトソースOCT CASIAをさらに進化させた機器で、画像の広範囲化、高感度化、重ね合わせによる画質向上が特徴となっております。
これにより、角膜疾患、白内障手術、緑内障治療、屈折矯正術において、多くの情報を得ることが可能となっております。
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12、角膜形状・屈折力測定
角膜形状解析および、眼球の屈折力を解析することができます。
強い乱視がある場合や角膜疾患、白内障手術前後の検査、多焦点眼内レンズ適応判断として有用です。
13、コントラスト感度検査
コントラスト(明るい部分と暗い部分の明度差)の異なる視標を呈示し、どこまでコントラストを識別できるか検査します。
視力検査で検出できない微細な視機能変化を反映します。
軽度の白内障や角膜混濁、水晶体再建術や屈折矯正手術の術前・術後の評価に有用です。
14、中心フリッカー値測定検査
点滅する光には、点滅を感じる周波数帯と連続光を感じられる周波数帯があり、その境界をCFF(フリッカー融合頻度)といい、CFFを測定することで視覚の時間的分解能を評価することが可能です。
視神経疾患では、視力低下よりも先にCFFの低下がみられる場合もある為、視神経機能の評価に有用です。
15、HESS赤緑試験
赤緑レンズを用いて、左右目で見えている光を分離し、両眼の動きを測定します。
斜視や眼球運動障害を起こす疾患の評価に有用です。
導入している施設はそれ程多くはありませんが、当院では眼筋麻痺や眼窩壁骨折等による複視を訴える患者さんも多く来院されるため、HESSスクリーンを設置しております。
その他、さまざまな疾患に対応できるよう、検査機器をそろえております。
視力低下、だぶって見える、ごみが飛んで見える(飛蚊症状)、眼痛などの症状は、点眼薬を用いて眼の奥を検査する可能性があります。(散瞳下眼底検査)
瞳孔を開くため、4~5時間は眩しく、ぼやけてしまいます。
上記のような症状で受診される場合はご自分での運転は控えて受診されるとスムーズです。