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マイボーム腺機能不全について
マイボーム腺機能不全(以下MGD)とは、さまざまな要因によってマイボーム腺の機能がび漫性に異常をきたした状態であり、慢性の目の不快感を伴う疾患をいいます。
また、ドライアイの方の過半数にMGDが合併しているといわれており、知らないうちに、この疾患に罹患している方も増えております。ただ、MGDとドライアイの関わりについては、いまだ不明な点も多いといわれております。(ドライアイ診療ガイドラインより引用)
このMGDにつきまして簡単にお話しさせていただきます。
原因、症状、治療のお話の前に、マイボーム腺とは何かお話をしていきますね。
マイボーム腺とは、眼瞼(まぶた)のまつ毛の生え際よりもやや内側にある、油分を分泌する器官のことで、上眼瞼に25、下眼瞼に20前後あるといわれています。
マイボーム腺は、油分を分泌することにより、涙が蒸発するのを防ぐ大切な働きをしていますが、この機能に問題が生じるのがMGDなのです。
MGDの原因
炎症や感染により、マイボーム腺の働きに異常をきたして発症します。
多くが高齢者ですが、眼瞼縁へのお化粧をきちんと落とさないと、マイボーム腺開口部が閉塞し、MGDになりやすくなり、若い方にも増加傾向にあります。
MGDの症状
- 目が疲れやすい
- 目の異物感、不快感
- 眼脂がでやすい、たまっている気がする
- 涙目、涙がたまっている気がする
- 目がかゆい
- まぶたが重たい
- まぶたに熱感がある
- 目が赤い
- まつげがぬけやすく、ささりやすい
- 朝、目があきづらい
- ものもらいができやすい
MGDの治療法
- 温庵法(まぶたを温める):マイボーム腺の油を溶かし、まぶたの血流を改善します。治療用具や温めたタオルなどで行います。
- 眼瞼清拭(まぶたを清潔に保つ):まぶたに使用できる特殊なシャンプーなどで優しくマッサージすることにより、マイボーム腺の油の排出を促し、固まった油や角化物のつまりを除去します。また、周囲の細菌量を減らす作用もあります。
- 薬:点眼や内服により、主にマイボーム腺に生じている炎症を抑えます。
- 特殊な医療器具(マイボーム腺圧迫攝子)によるマイボーム腺内の古い油の圧出を行い、新しい油の産生を促します。
- オメガ3脂肪酸を多く含む食品摂取(青魚系、えごま油、アマニ油、クルミなど)
- 特殊な医療機器による治療:IPLなど(当院では扱っておりません。また、保険外医療となります)
当院では、MGDについての研究会であるLIME研究会に院長が所属しており、治療法について、日々情報を得ながら、診療を行っております。また、温庵法や眼瞼清拭の方法につきましては、看護師の指導のもと、患者様がご家庭で使用することができるアイマスクや眼瞼に使用可能なシャンプーの御紹介・販売もしております。
現代社会においては、パソコンやスマートフォンを使用する機会がますます増え、それに伴い、ドライアイ症状を感じる方も増えていくと思われます。その主原因のひとつであるMGDは、他の疾患の合併がなければ、視力低下が生じづらい疾患のため、様子をみてしまいがちですが、目の違和感は改善しませんし、ものの見え方の質も低下しますので、我慢せずに、眼科を受診されてください。